震災の後、ボクたちは自分たちの家を目指し、ひたすら歩いていた。
交通は麻痺し、通信手段も遮断されていて、できることと言えば自分の足で歩くことぐらいだった。
そのとき、ボクは会社に入って二年目で、専門が化学系だったことからラボに配属されていた。
ガタガタとテーブルの上のフラスコやビーカーが揺れ始め、次の瞬間には大きな揺れが襲ってきた。
同期の佐倉がテーブルの下に潜り込み、声も出せずにいた。
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