「ご迷惑をおかけします」そうA君が玄関口で挨拶してきたのは夏休みが始まって二週間ほど経った頃でした。A君は夏休み直前に脚立から落ちて両腕を打ち、右手を骨折してしまったのです。ケガをしたはじめの頃は、左腕も打撲で満足に動かせず大変だったと、彼のお祖母さんから聞いていました。A君はお祖母さんと二人暮らしなので、かなり不自由だったのでしょう。お祖母さんは過労からか具合を悪くして入院してしまったのです。しっかりしていても、まだ小○生高学年のA君を一人にしておけないと、お祖母さんから面倒を見てほしいと頼まれたのです。夫に相談すると二言返事で了承してくれましたし、息子は友達が泊りに来ると大喜びでした。私は先日の件もあってか少し躊躇いましたが、一人反対の訳にはいかずに受け入れることにしたのです。
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