周りの人には言えないが、誰かにすごく言いたいことがあって、俺は今日とんでもないものを見た。俺の住んでいる町の宣伝をするために、あるアイドルグループの一人が、うちの近くにやってきて、雑誌の撮影が行われた。アイドルがやってくることは前から聞いていたが、実際来てみると、同じくらいの年齢であるはずのクラスの女子と、あまりにルックスやスタイルが違うのに、驚いてしまった。もちろん、その周りには撮影のスタッフがいて、俺は離れた場所から見ることしかできなかったけど、そのアイドルはかわいらしい服を着て、近くの畑で町の名産品を持ちながら、生産者の農家と一緒に写真を撮ったり、話を聞いていたりしていた。しかし、撮影が終わって、関係者たちが撤収の準備をしていると、そのアイドルが近くにいた関係者らしき一人の人と少し話をした。そして、その人が手で少し離れたところにある、我が家の納屋の方を指さすと、そのアイドルは集団から離れて歩きだしたのだ。その瞬間、俺はその意味が分かって、一目散に自分の家の納屋の中に駆け込んだ。というのも、我が家の納屋には隣にトイレが設置されていて、あらかじめ打ち合わせの時に、当日関係者のために、そのトイレを使わせてほしいというお願いがあったのだ。そのトイレは扉を開けると、横向きに和式便器があって、板で壁が組まれているのだが、実は誰にも言ったことはないが、納屋とトイレを仕切っている壁の板は、床からわずかに浮いて打ち付けられていて、下にわずかに隙間があるのだ。小◯生のときに、納屋で遊んでいて発見したことだ。だから、納屋からその隙間を覗けば、和式トイレの後ろ側が見えるようになっていることを、俺は知っていた。
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