24歳の冬。会社で慰安旅行に行く事が決定し、幹事を務めることとなり、真っ先に僕はある旅館を選択した。2年前に当時、付き合っていた彼女と行ったことがあるのだが、ここの露天風呂はなんと自然な覗きが堪能できるのだ。露天風呂の男女の仕切りは一見しっかりしていて立派な木製造り、ある程度の高さもありそこから覗くのは不可能だ。この仕切りは露天風呂の浴槽の淵を造る岩の上に建っていて、その木製の仕切りと岩の浴槽の淵との間はご丁寧にも固まればゴムのような質感になる接着剤のようなもので隙間なく埋められている。だがしかし、その接着剤が故意的にだろうか、剥がれてるいや、剥がされている箇所があり、木製の仕切りと浴槽の岩場の間が完全露出しており、自然なままの形の岩と木製の仕切りの間にはほんのわずかではあるが隙間が生まれている。マッチ棒が一本横向きにして通るような凄く細くて雑な楕円形をイメージしてもらうといい、押し潰されたラグビーボールや薄く開いた切れ長の目のようなそんな形状の隙間は、男子風呂の向こう側の景色を知るには充分な隙間である。
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